2016年10月の日記
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●2016年10月30日(日)
今、宮部みゆきの小説『名もなき毒』を読んでいる。
(3年前にドラマ化されていたみたいだが観ていなかった。)
内容については語らないが、この話より普通の人生を送ることの難しさを痛感した。

毎月、毎月売り上げを気にしながら、お客様が少ない日は落ち込み、
海外からの商品が届かないことにやきもきし、時には苛立つ。
(実は今、海外からの商品到着が遅れていて、お客様に迷惑をかけていることに
かなり苛立っている。)
とは言え、何とか仕事を切り盛りし、35年のローンを払いながらも
マンションを所持し、嫁と娘と普通に暮らしている。
これって幸せなことだったんだ。

人は不幸すぎると怒りを他人に向けてしまう。なぜ自分だけが、何も悪いことを
していないのに、つらい、苦しい、死にたい、でも死ねない、どうしてだ、
誰もが自分より幸せそうに見える、なぜあいつらではなく自分なのだ、憎い、
苦しめたい、苦しめよう、苦しめ!苦しんでしまえ・・・。

僕はあまり人と比べることをしない。僕よりお金持ちを羨ましく思わないし、
僕より貧しくても優越感を持たない。自分を基準にして今、幸せか、辛いかで
判断するようにしている。だから家族のために努力をするし、我慢もする。
人は努力してがんばり、我慢してがんばれば多少なりとも良い方向へ向かうものだと思っていた。
でも、この小説を読んでいて努力をしても、我慢をしても、幸せになれない人がいることを知った。
自分ではどうしようもない不幸というものが世の中にはあるのだ。
どうしようもない不幸を持ってしまった人は他人に怒りを還元しようとする。
そしてそれが犯罪となる。

よく普通が一番などと言う人がいるが、普通ってなんなんだろう。
どんな人にも悩みはあるし、辛い経験もする。それでもいつかは何らかの方法で
乗り切ることが出来ている。それが普通なのだろうか?
もし乗り切ることが出来ない不幸を背負ってしまったら、僕もネットで青酸カリを
買い、人を殺そうとするのだろうか?
まったくわからない僕は、普通な生活を今日も送ることができたことに感謝しながら
毎日を生きてゆくしか方法を知らない。

今週は『スター・トレック BEYOND』。
監督はJ・J・エイブラムスから『ワイルド・スピード』シリーズの
ジャスティン・リンになった。でもクルーたちは変わらない。
カークのクリス・パイン、スポックのザカリー・クイント、
マッコイのカール・アーバンたちは健在だ。
この作品後にチェコフ役、アントン・イェルチンが亡くなったのは非常に残念だ。

もう最初からかなりの勢いで展開し、まったく飽きさせずに2時間を見せきった。
いままでの3作品の中で一番おもしろかったかもしれない。
『スター・トレック』の面白さはどえらい大惨事に逢い、普通は立ち直れないだろう
という状況から一発逆転、敵を駆逐するところにある。
今回もいきなりエンタープライズ号が崩壊し、クルーが人質になり、多く殺される。
どうしてこの状況を打破するのかと不安になるが、後半から畳み掛けるような逆転劇を
見せ、納得出来るエンディングへ。これぞスター・トレックである。

今回のクリス・パインも良い。1作目、2作目よりもカークが成立している。
わがままで、人の言うことを聞かないが、誰よりもクルーのことを考え、命をも
かける、僕らが見たいカークが今回はいた。スポックのザカリー・クイント、
マッコイのカール・アーバンも同様にスポックであり、マッコイだった。
久しぶりにキャラクターに不満がない作品である。

ぜひ、観てください。
と、書いたが実は前半は映画に集中できなかった。劇場の席に座って、さあ観るぞ!
と構えていた上映5分前(もうあと2分過ぎていたら携帯のスイッチを切っているところだった。)、
携帯のブルブルが。嫁からである。急いで上映室を出、電話に出ると
「台所のやかんの火、消したよね。」と。何言うとるねん!お湯をわかしていたのも知らんわい!
「弟に様子を見て行ってって頼んだから、パパは映画観といて。」って
こんな状態で映画なんか集中できるかい!(嫁は娘の保護者会ですでにM駅だったそうだ。)
上映中、何度も劇場を出て、家に帰ろうと思った。1時間後にたまらず上映室を出て、義弟に電話をした。
わが家のガスコンロは安全装置がついているので、自動消火していたらしい。よかった・・・。
安心して後半は楽しんだが、やはり損をした気持ちはぬぐえなかった。みなさんは僕の分まで
楽しんで下さい。そして出かける前にガスコンロでお湯を沸かすのはやめましょう。

以上、店長でした。


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