2012年03月の日記
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●2012年03月25日(日)
最近、僕の好きな番組に『吉田類の酒場放浪記』がある。

この番組は吉田類という人が、ただ街にある酒場を紹介する番組である。それのどこが面白い?と聞かれても僕は、とても面白いと思うのだからしかたがない。

まず吉田類とは誰か?画家で俳句の会「舟」を主宰。酒場詩人と呼ばれているらしい。吉田さんは独身らしく、とっても顔の長いおじさんなのだが、喋り方はとても上品である。

彼がテレビで訪れる酒場は大手チェーン店ではなく、どちらかと言えば、街にとけこんでいるような小さな酒場。番組1本が約15分なので、1軒しか紹介しない。あまりに小さいお店なので一見さんでは入りにくいところばかりである。

紹介前には、その街の名物店を訪れ、少し紹介する。それは神社であったり、和菓子屋であったり、肉屋であったり、酒場ではないところを紹介する。
その際は、必ずその仕事を少し体験する。 例えばどら焼きを作ったり、おせんべいを焼いたり....。素人が急に体験するから無理もないのだが必ず失敗する。あんこが漏れたり、納豆をこぼしたり、使い物にならない商品を作り上げたりする。とても迷惑な体験である。

ま、吉田さんはとても上品な喋り方なので、失敗をしても許せるキャラなのだが。

さて、いよいよ酒場を紹介するのだが、とにかく一見さんなので、酒場に入ると、とても常連さんに気を使う。とても腰の低い態度で接し、必ず店にいる方たちと乾杯をする。風貌に似あわず、とても礼儀が正しいのである。

まずは、ビールかホッピー。(ホッピーとは何かと東京で大学時代を過ごした弟に聞いたら、ビールの代用のよなものらしい。)時には、サワー(関西ではチュウハイね。)、焼酎などなど。
あとはご自慢のあてを食べるのだが、吉田さんはよく、常連さんが食べているものもらいにゆく。普通ならば、「なにワシの食べてるもん、やらなあかんねん!!」と怒られそうなのだが、そこは上品な吉田さん、上品におねだりし、上品に奪い取る。そして口に手をあて、おいしそうに食するのである。
酒がかなり強いのだろうが、当然飲んでいるうちに酔っぱらってくる。時には、序盤で酔っぱらっている時もある。(きっと、紹介する酒場の前にもどこかで飲んでいたなと感じる時もある。)
結構、ろれつが回らなくなることもしばしばである。でも、上品な吉田さんは、れろれろなのに上品に、楽しそうに店を紹介する。

最後は店の前で感想をのべるのだが、当然100%酔っ払い状態である。こんなに酔っぱらっているのに、(酔っぱらているからこそか)「じゃ、あと2、3件寄って帰ります。」と夜の街へと消えてゆく。背中には吉田さんの俳句が一句紹介されてエンド。

やはり、これのどこが面白いねんと言われそうだ。実は、今の僕はほとんどお酒が飲めない。ビールやチュウハイ2杯でダウンである。20代の頃は結構飲めたのだが、教師になってから上司というものがいなくなったので、好きな人としか飲みに行かくなり、だんだん弱くなったのである。そんな僕だから、酒場と言う場所が好きなのに、あまり行く機会に恵まれない。1年で、6回ぐらいかな。

だから僕は、この番組で酒場の疑似体験をしている。酒の好きな常連さんと会話をかわし、飲んだことない、ホッピーや焼酎のお湯割り、熱燗を飲んだような気になり、酒場に溶け込んだような気になるのだ。

お酒の好きな人も、そうでないひとも一度観てください。顔に似合わず、とても上品な吉田さん(ごめなさい)のファンになるかもしれません。

今週は、『シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム』。
『シャーロック・ホームズ』の続編ね。原作は、コナン・ドイルの「シャーロック・ホームズ」ジリーズをインスパイアしたライオネル・ウィグラという人のコミックらしい。

だろうね。だってかなりのアクションものだもの。
僕はちょっとだけシャーロキアン程度なので、コナン・ドイルものとは違いすぎることに文句はない。むしろ、原作と似ているところが出るたびに、少しほくそ笑んだりもする。

ロバート・ダウニー・Jrとジュード・ロウのホームズ、ワトソンコンビもかっこいい。気品があまりない二人だが、その分、スタイリッシュにアクションをこなしてくれるのは、アクション映画としては成功だ。

今回の宿敵、モリアーティがいよいよ登場する。1作目でも、それらしい影はあったものね。「ホームズ最後の事件」がベーズなので、あのシーンもある。原作を読んだ人は、そんなオチをつけるか!と怒るかもしれないが、シャレで流してね。
それに、あちこちにネタがちりばめられているので、見逃すとわからないこともあるので気を付けてね。(常連さんのIさんは、一箇所、ある本の説明がないのは、映画を観ているだけの人ではわからないと、指摘していた。でも、それってどこ?)

あと、残念なのは最近お気に入りの女優、レイチェル・マクアダムスが少ししかでないことだ。え、それで終わり?と思ってしました。

少し頭を使って、アクションものを楽しみたい人はオススメです。

以上、店長でした。


●2012年03月11日(日)
今日は3月11日。東日本大震災から1年が経った。

当時、僕は店でパソコンの作業をしていた。
グラグラっとはきたが、神戸はさほどの揺れではなかった。ネットでの緊急速報で東北を中心に震度7以上の地震があったと伝えらた時も、多少の心配はしたが、どうしても大きな惨状が想像できず、店に来ていたお客様と揺れたや揺れてないやらという他愛もない会話をしていた。しかし、休憩から帰ってきたスタッフKさんの「すごいことになっていますよ。」の一言で、嫌な思いに駆られ、近くのヤマダ電機まで走って行き、テレビに映し出され光景を見て絶句した。
津波で車や家が流され、人々がビルの屋上に取り残されている。その時の映像は茨城の映像だったと思う。
その後、さらに目を覆いたくなるような映像が流れる。福島原発の爆発、ガスタンクの炎上・・・不謹慎な言い方かかもしれないが、まるで東宝の特撮映画を観ているようだった。
ヤマダ電機では、人々がテレビに群がり、関東、東北方面に知り合いがいる人々は携帯で連絡をとろうとしていた。まったくつながらないようで、誰もが不安を募らせていた。被害のない神戸でも、心配のあまり、テレビの前で泣き出す人も多くいた。

僕の中には、やはり17年前の阪神・淡路大震災のことがよぎった。家が崩壊し、大切な人達を多く失った。

今でも長田区の焼け落ちて廃墟となった街並みの赤い色は忘れられない。電気もガスも水道もない家の前で、どてらを着て、顔の汚れた子供たちが寒さをしのいで、木片を焚いていたことを思い出す。

兵庫警察署の前に並べれた多くの遺体も忘れられない。あまりの数に遺体を入れる棺桶がなく、路に並べられている亡骸には、母と小さな赤ん坊を一緒にくるんだ毛布もあった。

そんな状況が1年ぐらいで改善するわけもなく、それからの数年はガムシャラにならざるを得ない時期であった。神戸でも住む場所を捨てる人、捨てるしかなかった人、そこに残る人、残るしかなかった人がいた。どうして自然は、このような残酷なことをするのだろうと何度も思った。

でも神戸は全てではありませんが、復活しました。
僕も新しい仕事に苦戦しながらも、妻と娘のいる家族を持つことができました。だから東北、関東で被害に遭われた方も必ず復活できるはずです。あと10年という歳月は長いかもしれません。しかし、この辛さを乗り切れば、きっと笑えるはずだと僕は信じています。
今が辛くても、諦めないでください。これからの未来を生きる子供たちのために頑張るしかありません。
僕も地震当時、「頑張って下さい。」と言われると、「俺はお前らより頑張っとるわい!」と思ったものです。しかし1年が経った今、あえて言います。未来のために、未来を生きる子供たちのために頑張って下さい。もちろん僕たちも、皆さんのためにできる限り応援し、頑張ります。美しい日本を取り戻すために。

今週は、『生きてるものはいないのか』。
監督の石井岳龍は、石井聰亙のこと。現在、石井監督は、神戸にある神戸芸術工科大学で講師をされている。この学校の卒業生、在校生の何人かが当店の常連で、よくお店に来ては映画の話をしている。その縁からか、前売り券を購入することになり、観に行くことになった。
とは言え、僕は『狂い咲きサンダーロード』や『爆裂都市』以来の石井ファンでもあるので、『五条霊戦記』以来の長編と聞いて、密かに楽しみにしていた一人なのだが。(石井監督は日本で、サイバーパンク映画を作ることが出来る数少ない監督だと僕は思っている。)

で、映画の感想だが。
高校や大学の文化祭で上映される映画研究会の映画を、プロの監督、スタッフで撮ったような映画であった。(ちょっとわかりにくい書き方かな?)

全くセットは作っていない。神戸芸術工科大学かその周辺の道をつかった完全ロケ作品である。病院が隣接された大学が舞台なので、セットも不要なのだろう。役者も村上淳、染谷将太(彼も『ヒミズ』までは知らなかった。)ぐらいが知っている程度だった。ま、調べてみると、まるっきりの素人ばかりではなく、そこそこ、いろいろな映画やテレビ出ている方たちばかりなのだが。
特撮もあるわけではない。少しだけあるCGの部分も今の高校生ならば、簡単に作ることが出来る程度のものである。とにかくお金はかかていないことが一目でわかる。

じゃあ良くなかったのかと言えば、そうじゃないんだな。
お金をかけなくても、それなりに面白い映画を作ることが出来る。もともと『狂い咲きサンダーロード』も低予算映画だった。(当時、石井監督は公開されていた高額予算映画『レイダース』と比べていたな。)
プロの監督、カメラマンなどのスタッフで映画を撮れば、面白い作品になる。プロとアマチュアの違いを、当たり前なのだが比べることが出来る映画なのである。
それに僕が好きなサイバーパンク映画に仕上がっているのも嬉しい。『ブレードランナー』や『マトリックス』のようにお金をかけなくてもサイバーパンク映画は出来るのだなと、感心させられた。え、サイバーパンク映画って、どんな映画かって?それは、感じてください、映画を観て。

僕的にはおすすめです。石井ファンは観に行って下さい。

最後に映画に出てくる大学名は「神西大学」だったが、ロケをしていた神戸芸術工科大学は、神戸の西神と言う場所にあるからだろう。これも、なんだか高校生乗りだな。

以上、店長でした。


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