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●2011年06月18日(土)
今から12年前の秋、僕は買い付けの仕事でアメリカのロサンジェルスにいた。 ハリウッドを歩いているとイベントらしき風景があった。 それはジョニー・デップがウォーク・オブ・フェーム(星形のプレートにスターの名前が書かれ、ハリウッド大通りの道路に並べられている。)に名前が載る記念式典だった。 何度か仕事で来ていたが、スターと呼ばれる人を見るのは初めてだ。あと30分ほどで始まるらしい。僕は、ジョニーが来るのを待つことにした。 ただ、当時のジョニーは暴れ者で通っていた。だから僕は彼が「別にこんなこと喜んでないよ。」的な態度で、暴言を吐くことを密かに期待もしていた。 ほどなくジョニー登場。サインを求めている人がいる。きっと、見向きもせずに通り過ぎるのだろうな、と思っていたら、丁寧にサインをし、握手までしていた。あれ?なんだ?この良い人ぶりは?シャレかな? いよいよスピーチ。悪態をつくぞと思いていたら、式典にゲストで来ていたマイケル・ケインとティム・バートンに感謝を述べ、自分を支えてくれたヴァネッサ・パラディに愛を述べ、はては見に来ている僕らにも「有難う。」を述べていた。 どうしたんだ!私生活ではアウトローだと聞いていたのに。これでは、かなりいい人じゃないか。 後でわかったのだが、この年に最愛の娘、メロディちゃんが生まれている。彼の人生はヴァネッサとの出会い、子供たちの誕生で大きく変わった。ジョニーをメジャーにさせてた映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』のジャック・スパロウも子供にパパの仕事を見せることが出来る作品をと出演を決めたらしい。普通、家族大好きな奴は娑婆っぽくてダメになるはずなのに、ジョニーは逆にどんどん素敵になっていった。 でも当時、独身だった僕は、「子供が出来ると男はこうまでかわるものか?」と他人事ようにしか思っていなかった。 そんな僕も2年後に結婚し、娘が生まれた。かくて僕も娘命になってしまった。それが見破られるのが嫌で、少し無関心な態度をしようとするのだが、周りから見れば典型的な親バカらしい。 娘が年頃になったことを想像し、彼氏を連れて来た時のことを考えてナーバスなる。まだ9歳なのに。結婚するまで、多くはないが、それなりの人数の女性たちの父親に嫌な思いをさせた僕への天罰なのだろうか?これは。 最近では、ダウンタウンの松ちゃんこと松本人志もそうだ。彼は、娘好きなことを隠そうとするが、もう節々に娘好きが出て来てきている。その最たるものが、今週観た映画『さや侍』である。 僕は不覚にもラストで泣いてしまった。しかも家へ帰って嫁に映画のことを話しながら、また泣いてしまった。 何故だ?『さや侍』やぞ。主演なんか『踊るおっさん劇場』の野見さんやぞ。腹が立つことがあっても、泣けるはずがないじゃないか。 実際、脱藩浪人、野見が母親の死で笑わなくなった若様を笑わすための30日の業でのパフォーマンスは、ほとんど腹が立った。もし、これも松ちゃんのラストまでの伏線としての計算だとしたら、やはり彼は天才だ。 ネタバレになってしまうのでラストの内容は書かないが、松ちゃんの父親としての娘への思い、心構えを感じたならば、父親である人は必ず泣く。また板尾創路の映画で演じるやさしさも亡くなられた娘さんのことを考えてると泣けてくる。これも松本監督の板尾さんへの気持ちだとしたら、やはり彼は大天才だ。 映画を観て思った。僕は娘にとって立派な父親だろうか?僕が死んだ時、娘は僕に感謝して泣いてくれるだろうか?立派な人間にはなりたいとは思わないが、娘には大好きな父親として人生を全うしたい。だから僕は、辛いことがあっても頑張るのである。娘が誇れる父親になるために。 子供のいる親御さんにはとてもお勧めです。ラストまでは野見さんに腹が立つかもしれませんが、ラストの野見さんが男前に見える瞬間があるかもしれません。 フォークバンド、野狐禅(やこぜん)の竹原ピストルこと竹原和生が唄う主題歌も必聴です。ただし、この歌は映画を観てから聞いて下さい。 明日は、「父の日」。全世界のお父さん、頑張れ!! 以上、店長でした。
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