今週の店長

●2009年12月06日（日）

毎年、この時期はヒマだ。特にルミナリエが始まると常連さんが来なくなる。初めてのお客様も少しは来て頂けるのだが、大概は時間つぶしのため、ほとんど売り上げにはつながらない。
中にはトイレだけを借りて帰る人もいる。

はっきり言って飲食店以外は、あまり歓迎していない行事だ。神戸の復興を願ってと言われれば、おとなしく従わなければならないが、早くこの時期を終わってほしいお店は沢山いるはずだ。

ホームレスの方々も警備や警察がうるさいみたいで、居場所がないようだ。３日前に三宮の地下街を歩いていると、そんな人たちの溜まり場にはいつもの３倍ほどの人数が寝たり、座って話したり、酒盛りなどをしていた。

酒盛りをしているグループの一人が、前から歩いてくるおじさんを見つけて「よー！マリオ君！！」と呼びかけていた。
その人は小柄で、ピンクのつば付き帽をかぶり、ダンゴ鼻だった。たしかにスーパーマリオに似ていた。
おじさんはその酒盛りに照れくさそうに参加していた。

今年は比較的暖かいが、住む場所のない人にはつらい季節だ。
１０年ほど前、仕事帰りに湊川公園を歩いていると植え込みの所に大きな長方形の立方体があった。よく観るとダンボールを二つ、つなぎ合わせているようだ。
近づいてみると上部に小さな窓を切り抜いている。僕は、その窓を覗き込んだ。中には、おじさんがいた。
ちょっと目が合った。簡易なカプセルホテルだと僕は感心した。

今年は不況で失業し、住んでいる所も追われた人も沢山いるはずだ。せめて年末、年始ぐらいは暖かいところで過ごすことが出来るよう、ルミナリエの寄付金の一部をまわしてあげてください。三宮の東公園にルミナリエを作ったため、寝る場所を追われた人も沢山いるはずだから。

今週は、『イングロリアス・バスターズ』。
タランティーノの新作。『デスプルーフ』以来の作品は、戦争もの。ま、タランティーノが作る戦争ものなので、歴史設定などはむちゃくちゃなのだが、彼はＢ級娯楽作品しか作れないので、それでＯＫ。

主演はブラッド･ピットかと思いきや、群像劇のようにいろんなエピソードが出てくるので、特に主役はいない。これは『パルプ･フィクション』でもそうだったな。
この設定は意外性を呼ぶ。重要な人物の一人と思っていたら、いきなり死んでしまったりする。ダイアン・クルーガーなどは真ん中あたりまで出てこず、クライマックスであっさり・・・・。
（ネタバレ注意！！）あんなに目玉を見開いた下品な彼女は、未だかって見たことがないというほど、衝撃はあったけどね。

基本的にはタランティノー節炸裂でおもしろいのだが、やたら話しているシーンや、計画の準備シーンが長く、かなり眠くなった。『デス・プルーフ』のガールズトークはガマン出来たのに、さすがに２時間４５分中の１時間半ほどがそんなシーンなので、ドンドン！パンパン！のアクション映画を期待した人には少しがっかりかもしれない。

悪くはないのだが、もう一度観に行こうとはちょっと思わないな。
ちょっと長いので、始まる前には必ずトイレへ行って下さい。
僕は、冷たい飲み物を飲んでしまい、途中でトイレに行きました。

以上、店長でした。