2006年12月の日記
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●2006年12月24日(日)
今日はクリスマス・イヴ、お店は暇である。街はカップル(ちょっと前までアベックと言っていておっさん扱いされた。)有馬記念に盛り上がるおっさんで溢れかえっている。

ますます愛を深めるカップルたちもいるが、騙されて高額商品をプレゼントした後、玉砕する男たちもいる。
3週間ほど前、店より帰宅する途中コンビニへ寄った。僕は娘のジュースと100円のお菓子を買い、自転車へ乗ろうとした。その横で男2人と女1人で話をしている。
女「今年のクリスマスはどうすんの?」男@「特に何も。」男A「こいつ、去年ごっついプレゼントしよってん。なんぼやった?25万やったけ。」男@「そう。」女「ヒェー、おっとこまえやなー!それは何?」男@「ヴィトンのバッグ。」女「すごいやん。がんばたやん!」男@「でも・・・あかんかった。ふられた。」男A「取られ損やな。」男@「まぁ・・・な。」

嫁に話すと「それも、しゃーない。納得して買って、渡してんから。」う〜ん。確かにそうだが、男心の純情を考えると簡単には「そうですね。」とは僕は言えない。高額プレゼントをする男性諸君、騙されても強く生きてください。そんな女はきっと天罰が下るはずです。

嫁は若いとき勤め先にオルゴールを持ってきた男に、口では有難うと言いながら、「こんなもん、いらん。」と思ったそうだ。金の亡者め!僕ならば、高額商品のお返しプレゼントを「ワ・タ・シ!」などと言うような女にはパッチギ!!だー!(本当は僕らはパチキと言う。)

今週は『どうぶつの森』と『硫黄島からの手紙』。
『どうぶつの森』はお馴染み、パパと花菜(娘)のラブラブ映画デートで観た作品。内容なんて、どっちでもいい。娘が喜んでいたので父は満足である。ゲームで知っているキャラクターたちが沢山出てくるので子供にはたまらないらしい。予告編で「冬まつりの夜、奇蹟が起こる。」というキャッチフレーズがあったが、こんなもんが奇蹟かぁ?と大人は思う。子供のための子供お話なので、残虐シーンもなく安心して観ることができる1本です。

ちなみに娘はリセットさんのものまねして、嫁に下品な喋り方だと怒られている。

もう1本は『硫黄島からの手紙』。
『父親たちの星条旗』と同じイーストウッドの硫黄島2部作の一本である。だた、この映画同士のコラボ的なつながりは何もない。同じ俳優が両方とも出ているということもない。まったく別の視点の映画だと考えていたほうが良い。

観ながらこの映画、日本語で作っているけどハリウッド映画なんだと思う。
つまりアメリカなどでは全編字幕付きということだ。ある意味すごい。監督はクリント・イーストウッドなのに、日本映画のように字幕を追うことなく、しかも制作費はハリウッド映画なのでバンバン使えるから、CGなんかも生半可ではないすごい戦争シーンを見せてくれる。

映画の内容は淡々とつづられる。日本製映画ならば、最後に泣かせて、泣かせて、これでもかと泣かせて終わる。でも、イーストウッドはそんなことはしない。戦争映画なのでつらいシーンも多いのだが、これを浪花節的にはせず、あくまでも端的に映像化しているところは、うまい!と唸ってしまった。その分泣けるとまではいかなかったかったが、アメリカ人がこれほどまでに日本を描いたことは賞賛してもよいだろう。

何より嵐の二宮君が良い。公開前は、「どうなんだろうか?」と思っていたが、渡辺謙と二分するほど主役をはっていた。以前見た映画『青の炎』の時も良くがんばっていたが、役者としては今回のほうが数ランク良くなっていた。

年齢層が高い作品だが、ぜひ若い人にも観てもらい1本です。

以上、店長でした。今年も有難うございました。


●2006年12月16日(土)
神戸はルミナリエです。毎年書いているような気がしますが(それもボヤキ)、この時期は大変です。飲食店以外は儲かりません。

元町大丸は、トイレと午後6時の点灯までの暖まり場所です。近くの映画館は、通り道になっているため観客が来ず、いつもはまじめなスタッフもヤケクソではじけてキャーキャー言っていたりします。
当店にも、明らかにトイレのみを借りに来るルミナリエ常連がいたりします。本当の常連さんはいつもより人が多い元町には出てこられません。今年も21日までなのは、クリスマス商戦で稼ぎ時の大丸や近隣の商店街から苦情が出たかららしいです。

とは言え、恋人たちは24日や25日にルミナリエを見ながら愛を語りたいので、ちょっと不満らしいです。家庭一筋の僕には関係ないことです。

今週は『ソウ3』。ルミナリエが始まる前に行こうと考え(人が多くなるから)、閉店作業をスタッフにまかせて夜の上映に行きました。

始まったとたんに後悔。怖い!僕は幽霊ものなどには強いのですが、この手の人間が仕掛ける猟奇ものは、ありえそうなことなので怖いのです。夜、暗い中をブタか馬のお面が出てきたらチビってしまうと考えてしまいました。

『ソウ』シリーズは一番、一作目が良く出来ていたように思います。とはいえ2作目も悪くなく、最後にはジグソウパズルのように解ける謎が気持ち良い。

『ソウ3』もファーストシーンの猟奇殺人でチビリそうになりましたが、ぐいぐい引き込まれる内容は、この作品もさすがと思いました。

交通事故で息子を亡くした父親が、息子の死にかかわる3人(事故を起こした犯人、その犯人に軽い罪しかあたえなかた判事、息子の事故現場を見ながら証言をしなかった女性)をどう裁くかという恐怖と平行して、ジグソウ、アマンダ、ジグソウを生かすために誘拐された女医との恋愛関係とも言える複雑な嫉妬が絡み合い怒涛のラストへ連れて行ってくれます。

残虐なシーンもすごいのですが、ラストに例の音楽が鳴り出すと解け始める謎は今回も「おー!!」と言わせます。これで完結とも、まだ続きそうともとれるラストには少し、「またか。」とも思いましたが、続編出来たら観に行ってしまうだろうな。

心臓の弱い方以外は観に行ってください。

以上店長でした。
(今回、ジグソウ役トビン・ベルの本当の血液を混ぜたインクで印刷した、世界限定1147本のポスターが入荷しました。画像をアップいたしましたのでご覧下さい。現時点ではヤフーオークションに出品中。)

●2006年12月02日(土)
今週は『木更津キャッツアイ ワールドシリーズ』。
常連のトモさんがミクシーの日記で「泣けた。」と書かれておられたのだが、「えー、木更津で泣けるかなぁ。」と疑っていた。結果、泣いてしまった・・・。

今は亡き、ぶっさんにちゃんとさよならを言えなかった仲間たちが集まり、球場を作り、フィールド・オブ・ドリームスのように甦ったぶっさんと野球をする。なんで、ぶっさんと会いたいのかという問いにバンビが「だって俺達、まだぶっさんにちゃんとバイバイ言ってないじゃん。」と言う。僕も思った。「親父にちゃんとバイバイ言ってない。」

父は7年前、肝臓ガンで亡くなった。年末に顔面神経痛になり、市民病院へ救急でいった父が念のため精密検査を受けると言った。顔面神経痛は薬で治っていたので、心配していなかった。後日、父とは別に母と2人だけ病院に呼び出されて、末期の肝臓がんで余命3ヶ月と聞かされたときは頭の中が真っ白になった。

気の弱い父にガンを告知しなかった。医者には、「後に親戚などからクレームが出たりするから告知したほうが・・・。」と言われたが、父はそれを聞いたら病院の窓から飛び降りかねない人だったので「全責任は僕と母で負います。」と医者にはきっぱり言った。

告知をしないと言うことは、抗ガン治療をしないと言うことである。余命3ヶ月が1年に延びたとしても10ヶ月近く、苦しい治療を続けるのならば、しないほうが良いと僕らは考えた。

結果、ぶっさんのようにそれから2年近く生きた。一旦、退院したときは伯父と旅行なども行けていた。えらそうに喋る父を見て、「ほんまにガンか?」と思うような時もあった。
でも、病気は着実に進行していた。父の腹は腹水で狸の置物のように膨れ上がり、何度か倒れて病院にも運ばれたりしていた。

最後の入院の時、いつ死んでもおかしくないと言われていたので、毎日のように仕事が終わってから母と病院へ行った。
さすがに疲れた。身近な人がいなくなることを認めたくない僕は、よく一人で湊川公園の椅子に座って缶ビール片手に何時間もボーっとしていたりした。

父がいよいよ一人部屋に移った。もう最後が近いということなのに、父はステイタスを感じ、喜んでいた。でも、一人部屋の階には専門医がいない。ちゃんと病気をみてくれないのではないのかということで母と父の病室でケンカをしてしまった。寂しそうな父に僕は「おやっさんのこと考えてるから揉めんねん。勘弁してや。」と言った。父は「部屋のことはお前らにまかすわ。」と力なさげに言った。それが最後の言葉だった。

ケンカしたことはお互い疲れているからだと、明日はお互い見舞いに行くのはやめて、ゆっくりしようと僕は母に提案した。母はわかったとぼそりと言った。
僕は次の日、今の嫁と飲みに行った。当時は付き合ってもいなかったが、つらそうな僕を見て、嫁は付き合ってくれた。次はカラオケへ行こうとしたら携帯が鳴った。母からだった。父が危篤なのですぐ病院へ来いと言う。母は約束を破り、病院へ行っていた。

病室へ着いた時、父は呼吸器をつけて意識が朦朧としていた。看護士さんが「息子さんが来ましたよ。」と言うと、目を開け、こちらを一度見て、再び目を閉じた。僕が来る前にあまりに苦しかったのか医者に「殺すきか!」と怒鳴ったそうである。僕はそんな父を見なくてよかったと思った。

今晩は大丈夫だろうという付き添いさんに促され、僕たちは一旦、家に帰ることにした。母は踊りの稽古の後、病院へ来ていたので着物のままだった。タクシーで家についた僕らは着替えてシャワーでも浴びようと相談していた。真夜中の3時、電話がなった。嫌な予感。父が亡くなったと聞かされた。

着替えもそこそこにタクシーで病院まで。父は動かなくなっていた。さっきまでしていた呼吸器も心電図も取り外されていた。
葬儀の間中、僕は泣いていた。30半ばなのに、人目をはばからず、ずっと泣いていた。くやしかった。父を安心させてやれなかったことが。仕事は一番大変な時だったし、結婚もしていない。孫も見せてやれなかった。僕は父にちゃんとバイバイを言えてなかった。

父が生きていたら、嫁と孫に会えたのに。きっと孫に嫌がられながらも何かと理由をつけて家へ来ていたろうな。僕は一生それを後悔しながら生きていくのだろう。

バンビもアニもマスターもウッチーもぶっさんにバイバイが言えた時、アニが「ぶっさん、呼び出しといて悪いんだけどさ。もう帰ってくれない。」と言う。アニの優しさと決意を感じ、又泣けた。誰も過去を背負っては未来へは行けない。きっと、どこかで吹っ切らなきゃな。そんな前向きさが心に伝わった。

僕は父にちゃんとバイバイを言えていないので、父はぶっさんのように、まだ僕の周りをうろうろしているかもしれない。
でも、おやっさん、僕はがんばっています。まだまだ、がんばらなければいけないことは沢山あるけど、家族のためにもっとがんばろうと思っています。あなたのように・・・。

以上、店長でした。

P.S. この映画、かなり笑えもします。僕にとってはいろんな意味で今年一番になったかもしれません。オススメです。


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